spoon me‼︎

ゾロナミ

「なぁあれどうするよ?」
「野暮なことはせんで二人に任せたらええ。ゾロもナミも大人じゃろう」
「良いじゃねぇの〜。俺ァ嬉しいぜ。あの鈍チンがちゃんと、男になって……」
「あらあら、泣かないのフランキー」
「俺も泣ぎだい。ナミさん……なんであのマリモ……」
「サンジー。肉はもうねぇのか?」
「ルフィ、肉ならこっちにまだあるぞ! サンジ、ケーキはもうねぇのか?」
「チョッパー、俺のケーキあげっから、サンジくん休ませたげて」
「おぉ! ありがとうウソップー!」
「じゃ、そろそろ宴はお開きにしましょ。二人の邪魔しちゃいけないわ」
「えぇ〜もう終わりか!? 肉は? まだ肉食いてぇ」
「まだ残っているお料理はあなたが食べたら良いわ。ひとまずここを撤収して、船内に引き上げましょ」
「そうですね。今夜はお二人の時間にして差し上げましょう」
「ふーん、そっか」
 船員たちが皆、宴の片付けを始める。潰れて終わる宴は最高に楽しいけれど、こうして仲間の幸福を願いながら自分たちの手で終わりを迎える宴というのも悪くない。本当はもっともっと、全員で輪になって、歌って踊って食べて飲んで、騒いでいたい気持ちもあるけれど、今夜の主役はゾロだから。
「どうしたの? ルフィ」
「ん」
 大きな肉の塊を拾い上げたルフィが、くるりと後ろを振り向く。視線の先には、暗い前甲板で抱き合う大切な二人の仲間。ゾロとナミが互いを特別に思っていることなんて、それこそ最初の最初から分かりきっていたことだった。あの二人が出会ったところからずっと一緒だったのだ。
「やっとだな」
 にっ、と大きな弧を描く口。それから思い切り息を吸い込んで。
「ゾーローー! ナーミーーー!」
 その場にいた全員が一斉に声の主を振り返る。
「おめでとうなーーー!」
「おいおい」
「静かにやってたの台無しじゃねぇか〜」
 周囲の咎める声をよそにゆらゆらと肉の塊を振るルフィ。それに応じて向こう側からゾロがゆっくりと手を上げる。薄明かりに照らされた二人の表情は、穏やかなものだった。
「おめでとう」
「おめっとさん」
「アホエロくそマリモ」
「おめでとーう!」
「良かったなァおい」
「おめでとうさんじゃな」
「おめでとうございます」
 それぞれに祝いの言葉を口にして、ゾロとナミの幸福を願う。いい日だ、と皆がそう感じた瞬間だった。

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